ギフテッドとは? 当事者が10の特徴を徹底解説

日本において、少しずつ認知されるようになってきている「ギフテッド」という存在。

  • 学校現場で、ギフテッドと思われる子どもを担当することになった
  • 自分の子どもはギフテッドなのかも?
  • 発達外来や学校で、ギフテッドかもしれないと示唆された

そんな方も多いのではないでしょうか?

一方で、ギフテッドのリアルについて、日本社会の認識がまだまだ追いついていないことも事実です。この記事では、ギフテッドの概要/特徴について、ギフテッド当事者がわかりやすく解説をしていきます。

ギフテッド(gifted)とは?

ギフテッド(gifted)とは、特定の分野で優れた能力をもつ人のことを指す言葉です。知能指数であるIQ130以上を持つ人がギフテッドだとされることが多いですが、知能指数に限らず、芸術/スポーツ/リーダーシップなど様々な分野での優れた才能を持つ人々もギフテッドとよばれる場合があります。このように、特定の分野で優れた能力をもつ人のことを指す言葉として使用されている「ギフテッド」ですが、明確な定義や判断基準はありません。よって、「ギフテッドとは何か」を明確に結論付けるのは難しいのが現状です。

この記事では、ギフテッドという概念を参考にしつつ、日本で暮らすギフテッドっぽい子どもたちの特徴について、実例を用いながら詳しく解説をしていきます。読む中で、少しでもギフテッドとは何かについて考え、関わりや自己理解などに役立てていただけますと幸いです。

ギフテッドの特徴とは? ~10の要素を紹介~

当たり前ですが、人間は一人一人違います。ギフテッドというカテゴリーに対して重なる部分を感じ、ギフテッドなのかも?と思っても、ギフテッドがもつ特徴について、当てはまる部分もあれば、当てはまらない部分があるかと思います。先ほども記述した通り、ギフテッドについて明確な定義がないのですから当たり前です。「こういった傾向の子が多い、でも当てはまらない子もいる。」そういった意識で読み進めてください。

この記事では、専門用語はなるべく使わず、わかりやすく書いています。ギフテッドに当てはまるのか否か、に注力して読むのではなく、こんな傾向がある、ではどう対処すればいいか、考えながら読んでいただけますと幸いです。 

 

知的能力

ギフテッド特性を持つ子どもたちは、複雑な問題や概念を理解するにおいて力を発揮することが多いです。「吸水力が良く」「吸水スピードがはやい」スポンジをイメージするとよいと思います。新たな事柄に触れ興味をもった際の理解は非常にスムーズでそして深いことが多いです。この特性は、ギフテッドの中核的な特徴の一つであるとよく語られます。一方で、注意すべきなのは、「=IQ」「=学力」ではないということです。興味を持った事柄についてのみ「吸水力が良く」「吸収スピードが速い」のですから、興味の対象が限定的である場合や偏りがある場合においては、その分野においては秀でるものの、他の分野からは能力が見えづらいということも珍しくないのです。結果として学力的な数値として可視化できないこともしばしばです。

  • ものごとの理解が速い
  • 反復練習を嫌う
  • 年長との会話を好む

実例①:子どもっぽくない子ども

子どもの頃、「子どもっぽくない子ども」とよく言われました。子どもと大人が入り混じているときには、必ず年長者の会話に入っていたからです。子どもの頃の私にとって、面白さを感じるのは、子ども同士の会話ではなく、大人との会話でした。

好奇心旺盛

幅広い分野に対して強い好奇心を持ち、探求しようという気持ちをもつことが多いです。強い興味によって、その道を究め、将来を切り開く人もいます。一方で、興味の対象が成長過程で変化したり、幅広い興味のために進路に迷う子どもたちも多数います。

  • 興味を持ったものに没頭する
  • 興味の対象が幅広くなってしまう

実例②:興味の対象が多く進路が決められない

理系分野の物理、そして文系分野の哲学や心理学に興味があり、大学進学に際してどの道を選ぶか悩んでいます。

観察力

ギフテッド特性をもつ子どもたちは、本人の意識に関係なく、ものごとの細かい部分まで観察したり、気づいたりすることがあります。一方で、細部にも意識が向くような生活をしていることもあり、疲れやすいことが多いです。人混みが苦手な人も少なくないです。

  • 細かい部分に気づくことができる
  • 人混みでつかれやすい

実例③:人混みが苦手

人ごみに行くのが苦手です。意識していないつもりでも周りの人やものに意識が向いてしまい、とてもつかれてしまいます。

感情が豊か

ギフテッド特性をもつ子どもたちは、 感情がとても豊かなことが多いです。喜怒哀楽それぞれの感情の閾値が低いことが多く、ささいなことで喜んだり、落ち込んだりします。激しい感情の変化に、周りも、そして本人も翻弄されることもしばしば。また、他者の感情にも敏感で、考えすぎるがゆえに自分の意見が言えなくなったり、考えすぎがストレスにつながってしまうことがあります。自己理解を深め、コントロールしたり、感情が激しくなってしまったときに対処できる方略を持つことが大切になります。

  • かんしゃくがひどい
  • 感情のアップダウンが激しい
  • ささいなことで落ち込む

実例④:感情コントロールができない

ちいさなことで怒ってしまいます。お母さんにそのことを指摘されるけれど、自分もどうしていいのかわからず困っています。人やものにあたってはいけないとわかっていても、あたってしまうこともあります。あとで大きく後悔をします。

独創的な思考

ギフテッド特性をもつ子どもたちは、固定観念や暗黙のルールなど既存の枠にとらわれない、自分なりの考えを持つことが多いです。また、型に囚われた考えを鵜呑みにすることを嫌うことが多いです。「当たり前」「普通」とされることに対して違和感を覚え、自分はどう考えるかを追求する傾向にあります。一方で、自分なりに考えを深めるにおいては時間を要することもあります。自身の進路や選択に対して決定を行う際に、「普通はこうする」を適用しないがゆえに、結論を出すのに時間がかかってしまうことが多いです。

  • 形骸的なルールを嫌う
  • 独創的な考えをする
  • 考えなしに社会のレールに乗ることを嫌う

実例⑤:自分なりにものごとを考えることが大好き

日常で「当たり前」と片づけられることに対して、「どうして?」と自分なりに捉えなおしをすることが大好きです。自分なりに理解が出来たときはとてもスッキリします。

高い集中力

ギフテッド特性をもつ子どもたちは、興味のあることに対しては、非常に集中して取り組むことができます。高い集中力で、没頭して取り組みます。集中できることは一見するといいことですが、集中しすぎて(過集中)生活に支障がでてしまうこともしばしばです。適度に休憩をとるなど自分自身や/周囲がコントロールすることが大切です。

  • 集中すると何時間も勉強ができる
  • 夢中になると他のものに目が行かない

実例⑥:夢中になると寝食をわすれてしまう

好きなことに夢中になると何時間も熱中をしてしまします。水分をとることも、栄養をとることも忘れ、睡眠時間も削ってしまうため、生活リズムが乱れてしまいます。

幅広い興味と能力

ギフテッド特性をもつ子どもたちは、複数の分野で高い能力を示すこともあります。幅広い興味のために進路に迷う子どもたちも多数います。また、興味と能力が必ずしも一致するわけではありません。周囲からみると能力を優先したくなりますが、「能力を優先するのか」「興味を優先するのか」、本人が良く考え選択していくことが重要になります。

  • 大概の事はそつなくこなすことができる
  • 苦手なことがあまりない
  • いろんなことに興味を持つものの、本当にやりたいことが何かわからない

実例⑦:将来何をしたいのかわからない

興味をもったことには一直線に取り組むことができます。これまで様々なことに興味を持ち、調べたり挑戦したりしてきました。一方で、進路選択を迫られたとき、そのなかで自分は何をしたいのか、わからなくなって困っています。

完璧主義

ギフテッド特性をもつ子どもたちは、何事に対しても完璧を目指す傾向にあり、完璧と感じられない事柄や人に対して強く批判をしたり不満をもつことがあります。倫理感/正義感が強いと周囲から取られることもあるでしょう。また、自分に対する基準も高く、過度に失敗を恐れ挑戦を回避しようとしたり、完璧を求めるがあまりゴールを見失ってしまうということもしばしばです。

  • 他人のまちがいを強く指摘する
  • 失敗をおそれる
  • なにごとも完璧を求めてしまう

実例⑧:図工で作品を完成させられない

つくることは好きだけど、完成させることは苦手です。つくっているうちに、「もっとこうしたい」「こうすればもっとよくなる」と考えが浮かび、「これで完成!」と思えるゴールを見失ってしまうからです。

高度な言語能力

ギフテッド特性をもつ子どもたちは、言語的な発達もはやい場合が多く、年齢相当よりも語彙力があったり、複雑で抽象的な言葉を使いこなしたりすることがあります。

  • 弁が立つ
  • 抽象的な言葉を使用することを好む
  • 大人との会話を好む

実例⑨:同年代に話の内容を理解してもらえない

同年代と話すときは、自分が普段使うよりも簡単な言葉を使うことを意識しています。みんなと一緒に話したい気持ちはあるものの、「なんでそんな難しい言葉使うの?」「何言ってるかわかんない」と言われると仲間外れな感覚をもってしまうので。

優れた記憶力

ギフテッド特性をもつ子どもたちは、短期/長期に関わらず優れた記憶力を持ち、細かな情報も正確に記憶していることが多いです。優れた記憶力は様々な場面で発揮されます。一方で、嫌な出来事もしっかりと覚えて頭から離れないといったこともあるため、注意が必要です。

  • 新たに学んだ事柄についてよく覚えている
  • 過去の出来事を詳細に覚えている

実例⑩:教科書のどこに書いてあったか

学校のテスト勉強では、教科書のどこになにが書いてあったのかまで記憶することができます。一方で無駄な情報も多数取り込むことになるのでよく疲れてしまいます。

ギフテッド特性についてまとめ

さて、この記事ではギフテッドがもつ特徴について10の要素を挙げていきました。ここまで読んで「結局うちの子はギフテッドに当てはまらないのでは?」「私はギフテッドではないのでは?」などわからなくなった人もいるかもしれません。最初にも述べた通り、結局ギフテッドといっても多様で、一人一人違います。当てはまる部分もあれば当てはまらない部分もあるでしょう。ギフテッドの概念やそこで挙げられる特徴は、ギフテッドかどうかを判断する材料としてではなく、ギフテッドっぽい子どもたちの支援や見方の参考にしていっていただければと思います。

「こういった特性の人もいる」と、ギフテッドという概念を通して知見を広げることは、ギフテッドの可否に関わらず、様々な人への見方が変わるきっかけになると思います。そうやって、みんながひとりひとりと向き合える、そんな社会になることを願っています。

さて、この記事ではなるべく専門用語を使わずにギフテッドの特徴について取り上げていきました。専門的にもっと知りたい!という方は今後アップ予定の別記事を読んでみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!