【当事者がわかりやすく解説】ギフテッドとHSPって何が違うの??

ギフテッド、そしてHSP、どちらの言葉も最近耳にすることが増えたかと思います。自分自身の特性やお子さまの特性について調べる中で、「ギフテッドかも?HSPかも?結局どっちなの??」と混乱に陥っている方も多いのではないでしょうか。

私自身も、「ギフテッドなの?HSPなの?」と自分の特性や気質について悩んだことがありました。調べれば調べるほどわかってくることなのですが、ギフテッドとHSPの特性はとても重なる部分が多いのです。

そこで、この記事では、ギフテッドとHSPの共通点と違いについて詳しく解説をしていくとともに、自身の特性との付き合い方について体験を用いながらアドバイスができればと思います!5分程度で読める記事を心がけています!ふらっと立ち寄る気持ちで読んでみてくださいね。

*長文を読むのが苦手な方は太字をたどって読んでみてください。

ギフテッドとHSPそれぞれの定義とは

ギフテッド(Gifted)とHSP(Highly Sensitive Person)は、共通点がたくさんあり混同されがちです。よってまずは、それぞれの定義について改めて整理してみましょう。

ギフテッドとは

ギフテッド(gifted)は、特定の分野で優れた能力をもつ人のことを指す言葉です。知能指数であるIQ130以上を持つ人がギフテッドだとされることが多いですが、知能指数に限らず、芸術/スポーツ/リーダーシップなど様々な分野での優れた才能を持つ人々もギフテッドとよばれる場合があります。人口の約2~5%程度の割合で存在すると言われています。

また、過度激動(OE:overexicitability)と呼ばれる、感情や感覚の敏感さなどの特性を持つことも多いです。ギフテッドの人々は、周囲の環境や他者の感情に対して深い洞察力を持つとともに、感情的なストレスを感じやすいため、精神的な課題を持ちやすいことも報告されています。「ギフテッドの人は才能があっていいよね」とよく言われますが、こういった精神的な課題も抱えやすく、それによって自身の能力を伸び伸びと発揮できないこともしばしばなのです。

このように、特定の分野で優れた能力をもつ人のことを指す言葉として使用されている「ギフテッド」ですが、明確な定義や判断基準はありません。よって、「ギフテッドとは何か」を明確に結論付けるのは難しいのが現状です。

HSPとは

HSP(Highly Sensitive Person)は、心理学者エレイン・アーロン博士によって提唱された概念で、感覚や感情に対して非常に敏感な人を指します。

HSPの人々は、他者の感情や周囲の環境に対して非常に鋭い感覚を持っており、日常生活の中で強い刺激を受けやすい特徴があります。例えば、他人のちょっとした言葉や仕草に深く反応したり、光や音といった外部刺激に敏感であることが多いです。さらに、HSPの人々は自分の感覚に過剰に反応する傾向があるため、日常生活において疲れを感じることも少なくありません。HSPは一般人口の15〜20%を占めると言われています。5人に1人はHSPの方である可能性があるという、比較的人口の多い特性といっていいでしょう。

ギフテッドと同じく明確な判断基準や定義はありません。よって、「HSPとは何か」についても明確に結論付けるのは難しいということを知っておいてください。

ギフテッドとHSPの共通点:感受性の高さ

さて、ギフテッドもHSPも実は非常に曖昧さをもった概念であることを確認しました。ただ一方で、ギフテッドやHSPといった概念で表現されるような特性を持つ人々がいることも事実です。次にギフテッドHSPの共通点としてよく語られる部分について整理をしていきましょう。

ギフテッドとHSPの共通点は感受性の部分と考えると整理がしやすいでしょう。ギフテッドのOE(過度激動)とHSPの繊細さは似た様子を引きおこすことが多いのです。

ギフテッドの人々は、先ほど述べたように何らか突出した能力を有するとともに、OE(過度激動)という特性から感情や周囲の状況に対して敏感であることが多いです。彼らは、社会情勢や他者の悩み/苦しみに共感し、ストレスを感じることもあります。

同様に、HSPの人々も環境や他人の感情に対して非常に敏感です。彼らは周囲の微妙な変化や雰囲気に気づきやすく、それに対して強く反応します他人の感情を自分のことのように感じるため、感情的に疲れやすくなる原因にもなります。

このように、ギフテッドもHSPも周囲の環境や他者の感情に反応する感受性が高いことによって、大きなストレスや疲れを感じやすい場合が多いのです。感受してしまうという特性は大きく変化させることが難しいため、生じたストレスへの対処や環境調整が非常に重要となってきます。

ギフテッドとHSPの違い:心理学者エレイン・アーロン博士の見解

さて、ギフテッドとHSPがもつ共通点について整理をしていきましたが、「では何が違うの?」という疑問が次に浮かんでくるかと思います。HSPの概念を提唱した心理学者エレイン・アーロン博士はこの問いに対し以下のように述べています。

  • すべてのギフテッドがHSPなわけではない
    →繊細さ/感受性の高さをもたない(OE特性を持たない)ギフテッドもいる
  • すべてのHSPがギフテッドなわけではない
    →HSPが15~20%、ギフテッドが2~5%と考えるとすべてのHSPがギフテッドであることはありえない
  • ギフテッド=HSPとしたくない
    →HSPという概念はポジティブ/ネガティブ両要素をなるべく持たない中立的な概念として提唱したため、ポジティブな意味合いの強いギフテッドと簡単に同一視したくない
  • ギフテッド特性のOEとHSPの気質は非常に似ているということは認めていおり、自身に能力があるということで自己理解がうまくならば、ギフテッド=HSPと考え自身のことをHSPかつギフテッドと捉えることに賛成である

つまり、図式化するとこのようなイメージなのかな?と私は考えています。ギフテッド、HSPは重なる部分もあって、そしてそれぞれには実は明確な境界線はない。グラデーション的に存在している。「感受性の高さ」についてHSPギフテッドに迷っている方は、自身がどのあたりに位置づくのか考えてみると整理が進むかもしれません。

まとめ:違いを理解し、それぞれの特徴をサポートする方法

さて、ギフテッドとHSPの共通点と違いについて整理をしていきました。結局、「わかったようなわからないような」曖昧さをまだ心の中に持っているかもしれませんね。私はそれで正解だと思うのです。

ここまで確認してきたように、ギフテッドもHSPも定義は明確ではなく、ある意味非常に曖昧な概念です。その中に自分を落とし込むというのはとても難しい話なのです。まして「ギフテッドとHSPが同じかどうか」を考えることは、不可能に近しい話と言えるでしょう。

そんな中で、これらの概念とどのように付き合っていけばいいのか。

私は、「〇〇かどうか」を考えるのではなく、「人生に役立つ考え方/概念はなにか」を考えていくことをおススメします。

結局、人間は一人一人違います。似ていることはあっても全く同じということはない。そんな中で、なにか1つのカテゴリに当てはまて行くということは不可能に近いです。ただ、「似ている」ということは社会にたくさん転がっています。そんな「似ている」を参考にしながら、自分やお子さまの特性がどんなものなのか、考えて行っていただけるといいなぁと思います。

HSPという概念が近しいと感じて元気づけてくれたり、役だったりするのであれば、HSPという概念を活用すればいい。
ギフテッドという概念に近しい気持ちを持ち、それによって元気になったり/人生に役立つのであればギフテッドという概念を活用すればいい。

活用とは、特性を知っていくためのヒントとするということです。なんらかのカテゴリに当てはめることは一時の安心感を与えてくれるものではありますが、いつしかそこに疑問を持つようになってしまうことも少なくありません。一時的な安心よりも、長期的により理解を深められるような道を探っていっていただければと思います。