土居 綾美 Co-Ring代表
Ayami Doi
神戸大学国際人間科学部発達コミュニティ学科卒業。神戸大学大学院人間発達環境学研究科人間発達専攻修了。大学・大学院では社会教育学を学び、人と学びの関係や、多様な学びのあり方について研究する。
現在は、ギフテッド当事者としての視点と、支援者としての経験の両方を活かしながら、ギフテッドに関する研究・啓発活動、当事者コミュニティの運営、学習支援に取り組んでいる。
【資格】
・中学校教諭一種免許(数学)
・高等学校教諭一種免許(数学)
・発達障害学習支援エキスパートサポーター(最上位資格)
ギフテッドとの出会い
私の子ども時代は、どこか灰色でした。
学校はあまり面白いと感じられず、友達との会話にもどこか噛み合わない感覚がある。自分に合った学び方も、心地よく過ごせる居場所も見つけられませんでした。
「周りと何だか違う」
そんな感覚を抱えながら過ごす中で、「自分がおかしいのかもしれない」と思うこともありました。子どもながらに発達障害に関する本を手に取ったこともあります。
けれど、そこにも自分の姿を見つけることはできませんでした。
自分のことを理解してくれる人はいない。この世界で、たった一人。そんな感覚を抱えていたように思います。
高校生の頃、偶然目にしたニュース特集をきっかけに、「ギフテッド」という言葉を知りました。
それまで感じていた学校での違和感や周囲とのズレ。「なぜ自分はこう感じるのだろう」と思っていたことの一部が、初めて言葉になったような感覚がありました。
一方で、当時はギフテッドに関する情報も少なく、社会的な理解も十分とは言えませんでした。
だからこそ、同じように悩みや生きづらさを抱えている人たちがいるのではないか。そんな思いから、ギフテッドについて学び始めました。
「理解されない苦しさ」に向き合うために
ギフテッドについて学び始める中で、私は少しずつ当事者の方々や保護者の方々と出会うようになりました。
そこで感じたのは、「自分だけではなかった」ということです。
学校で浮いてしまう。
周囲と話が合わない。
能力があるはずなのに、なぜか苦しそうに見える。
抱えている悩みや状況は一人ひとり違っていても、「理解されにくい」という苦しさには共通するものがありました。
また、子ども支援の現場に関わる中で、ギフテッドの子どもたちが十分に理解されないまま、「問題のある子」として見られてしまう場面にも数多く出会いました。
本当は学ぶことが好きなのに学校が苦しい。
本当は人と関わりたいのにうまくいかない。
そうした姿を見るたびに、「本人の問題」ではなく、「その人らしくいられる環境が少ないこと」が大きな課題なのではという想いが強くなっていきました。
だからこそ私は、ギフテッドについて正しく知ってもらうための発信や、安心して語り合える居場所づくりに取り組んでいます。
一人でも多くの人が、「自分だけではなかった」と感じられる社会を目指して。
大切にしていること
私が活動の中で大切にしているのは、「ギフテッドかどうか」というラベルそのものではありません。
もちろん、その言葉によって説明できることや整理できることもあります。一方で、その枠組みだけで人の全てを捉えられるわけではないとも感じています。
大切なのは、その人がどのような感覚を持ち、どんな場面で困り感や生きづらさを抱えているのかということです。
「ギフテッドだからこう」「違うからこう」と分けるのではなく、一人ひとりの感じ方や経験に丁寧に向き合うことを重視しています。
また、「学校に適応できるかどうか」や「平均に合わせられるかどうか」をゴールにはしていません。
その人がその人のままでいられること。安心できる環境の中で、自分のペースで学びや関係性を築いていけること。
そこに寄り添うことが、支援の出発点だと考えています。
そしてもう一つ大切にしているのは、「理解される経験」を増やすことです。
ラベルではなく、その人自身を見ようとする関係性が増えていくこと。それが、自分を否定せずに生きていける土台になると感じています。
その積み重ねが、ギフテッドという言葉に限らず、さまざまな特性や生きづらさを抱える人たちが、自分らしく生きられる社会につながると信じています。
これまでの活動
これまで、ギフテッドを含む子どもたちや保護者の方々と関わりながら、さまざまな形で活動を行ってきました。
- 当事者会の企画・運営
ギフテッド当事者同士が安心して語り合える場づくり - ringOスクールの運営
一人ひとりの特性やペースに合わせた学習支援・伴走 - 個別相談
当事者の方や保護者の方の個別相談・サポート - イベント企画
当事者・支援者・保護者がつながる場の設計と運営 - 情報発信(Co-Ring)
ギフテッドや学びづらさに関する理解を広げるための発信
活動から学んできたこと
当事者会やお子さまのサポート日々の相談の中で、多くの声に触れてきました。
そこから見えてきたのは、「ギフテッドかどうか」といったラベルでは捉えきれない、多様な困り感や生きづらさが確かに存在しているということです。
たとえば、周囲からは「できているように見える」のに、本人の中では強い疲労感や違和感を抱えていたり、「好きなことには没頭できるのに、それ以外のことが極端に難しい」といったように、一見矛盾して見える状態が起きていることもあります。
また、本人だけでなく保護者の方々も、「この子らしさをどう守ればいいのか」「今の環境のままでいいのか」といった葛藤を抱えながら、日々向き合っていることを実感してきました。
こうした声に触れるたびに感じるのは、「正しさ」で整理することよりも、その人が何を感じ、何に困っているのかを丁寧に見ていくことの大切さです。
一人ひとりの声の中に、その人なりの背景と必然がある。そのことを、当事者会を通して繰り返し学んできました。
メディア掲載・研究活動
これまで、ギフテッドや生きづらさに関する支援・研究・実践活動について、さまざまな形で発信・掲載をいただいてきました。
- 神戸新聞にて、ギフテッド支援や当事者活動に関する取材記事掲載
- 読売テレビによる取材(2022年)
- 各種教育・学習領域メディア(STUDY CHAIN等)への掲載・取材
- 「日本ギフテッド・2E研究 Vol.1(2026)」において論文掲載
- 「才能はみだしっ子フォーラム2021」への登壇
ギフテッドも、自分らしく生きられる社会へ
ギフテッドという言葉に限らず、
一人ひとりが持つ感じ方や学び方、生き方が、そのまま大切にされる社会であってほしいと考えています。
「理解されにくさ」や「生きづらさ」を抱えたまま一人で頑張るのではなく、安心できる関係性や環境の中で、自分らしさを取り戻していけること。
そうした経験が少しずつ積み重なっていくことで、誰もが自分のままで生きていける社会につながると信じています。

