ギフテッドと発達障害のちがいは?
そんな方も多いのではないでしょうか?一方で、ギフテッドのリアルについて、日本社会の認識がまだまだ追いついていないことも事実です。それゆえに調べていく中で、「ギフテッドと発達障害って何が違うのだろう」と疑問を持つ人も多いのではないでしょうか?また、「ギフテッドと発達障害は違う」という認識をお持ちの方でも「一体何が違うの?」と尋ねられるとうまく答えられず困ってしまうかもしれません。
- 落ち着きがない
- コミュニケーションに難しさがある
- 特定のものに過度に集中してしまう
など、ギフテッドとも発達障害ともとれる共通した行動もたくさんあります。しかし、行動の根幹にある特性によって支援の形も変わってくるため、両者のちがいを正しく理解していくことはとても重要です。そこでこの記事では、ギフテッドと発達障害のちがいについて整理していきたいと思います!(はじめて学ぶ人にとっても読みやすいように、専門用語などはなるべく避け解説を進めていきます。)
ギフテッドとは?発達要害とは?
ギフテッドと発達障害について解説していくにあたり、まずはそれぞれの特徴と診断基準について整理をしていきたいと思います。
ギフテッドとは?特徴と診断基準
ギフテッド(gifted)とは、特定の分野で優れた能力をもつ人のことを指す言葉として使用されています。知能指数であるIQ130以上を持つ人がギフテッドだとされることが多いですが、知能指数に限らず、芸術/スポーツ/リーダーシップなど様々な分野での優れた才能を持つ人々もギフテッドとよばれる場合があります。このように、特定の分野で優れた能力をもつ人のことを指す言葉として使用されている「ギフテッド」ですが、明確な定義や判断基準はないため、「ギフテッドとは何か」を明確に結論付けるのは難しいのが現状です。
ギフテッドの特徴に関しては以下の記事で詳しく記述しています↓
発達障害とは?特徴と診断基準
発達障害とは、脳機能の発達に関係する障害の総称です。発達障害は、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、自閉スペクトラム症(ASD)など、複数の障害の総称です。今回は、ギフテッドと混同されやすい学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、自閉スペクトラム症(ASD)について以下で整理をしていきます。
注意欠陥多動性障害(AD/HD)
注意欠陥多動性障害(AD/HD)とは、「不注意」「多動性」「衝動性」を特徴とする発達障害です。症状としては例えば以下のものが挙げられます。
・忘れ物が多い
・じっとしていられない
・他の人のじゃまをしたり、さえぎったりしてしまう
自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(ASD)とは、「対人関係の難しさ」「強いこだわり」「言葉の発達の遅れ」などを特徴にもつ発達障害です。症状としては例えば以下のものが挙げられます。
・行間を読めない
・コミュニケーションが苦手
・こだわりの行動パターンがある
学習障害(LD)
発達障害(LD)とは、知的発達に遅れはないのに、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち、特定のものの習得と使用が難しい状態をいいます。症状としては例えば以下のものが挙げられます。
・文章を読むことに難しさがある
・計算に難しさがある
・書くことに難しさがある
診断プロセスや基準について
これらの発達障害は、単独で診断ができるような医学的検査はありません。医療機関における問診や行動観察、心理検査などを通して総合的に診断が行われます。よって、医師によって診断に違いが出たり、時には誤診がなされたりすることも実情です。
たとえ正確な診断がなされていたとしても診断は診断でしかありません。たとえばAD/HDと診断されたとしても、表出する特性は人それぞれです。AD/HDに代表される特性がすべて表れるとも限りません。診断名にこだわりすぎず、あくまでヒントとして個々人の特性に向き合っていくことが重要となっていきます。
ギフテッドと発達障害の共通点
ギフテッド特性をもつ人々と発達障害特性をもつ人々は似たような行動や状態を表すことがあります。それゆえ誤診されることもしばしばです。以下では共通する特徴や行動について整理していきたいと思います。
注意欠陥多動性障害(AD/HD)とギフテッド
注意欠陥多動性障害(AD/HD)とギフテッド(Gifted)に関しては、以下の共通する特徴や行動が例としてよく挙げられます。
共通する特徴
- 強い好奇心: 興味のある分野に深くのめり込む一方で、興味を持てないことには集中が続かない。
- アイデアの多さ: 複数のアイデアが次々と浮かぶため、非常にクリエイティブだが、それゆえに思考が混乱しやすい。
- エネルギッシュな性格: 活発でエネルギーがあふれる一方、落ち着きがないと見られることも。
彼らはどちらも思考的に非常に活発といえます。アイデアが豊富な人と見られることもあれば、落ち着きがない人と捉えられることもあります。特性から生じる挙動が非常に酷似しているため、混同されることもしばしばなのです。
自閉スペクトラム症(ASD)とギフテッド
自閉スペクトラム症(ASD)とギフテッド(Gifted)に関しては、以下の共通する特徴や行動が例としてよく挙げられます。
共通する特徴
- 特定分野への深い興味: 特定の事柄に対して高い集中力を発揮する。
- 社会的な困難: 他者とのコミュニケーションに課題がある場合がある。
- 感覚の鋭さ: 音や光、感触などに敏感であることが多い。
彼らはどちらも独自の世界観を有していることが多いです。ゆえに、他者との間のズレを敏感に感じ取ったり許容できず、結果としてコミュニケーションがうまくいかないといったことがあります。外界への感度が鋭いゆえに、感覚過敏によって生に支障がでることもしばしばです。一方で、自らの世界観のなかで好きなことに没頭できたとき、大きな成果を生み出すこともあります。このような独自の世界観から生じる特性や行動が酷似していることにより、混同されることもしばしばなのです。
学習障害(LD)とギフテッド
学習障害(LD)とギフテッド(Gifted)に関しては、以下の共通する特徴や行動が例としてよく挙げられます。
共通する特徴
- 能力のアンバランスさ: 一部の分野では非常に高い能力を示す一方、別の分野では著しい困難を抱える。
- 創造性の高さ: 問題解決において独自のアプローチを取ることが多い。
- 自己評価の低さ: 困難な部分に焦点が当たり、全体的な能力が過小評価されやすい。
彼らはどちらも能力のアンバランスさを持つことが多いです。苦手を得意で補うがために独自の思考や方略を有する場合があります。一方で、苦手をうまく補えなかった場合や、「ほかのことはよくできるのに、なんでこんな簡単なことができないんだ」など苦手な部分のみの評価がなされた場合、結果として自己肯定感が下がってしまうということも起こりえます。このようなアンバランスさゆえに、これらは混同されることがしばしばあるのです。
ギフテッド×発達障害の可能性:2E
ギフテッドと発達障害について整理するうえでもう1つ注意しなければならないことがあります。それは、これらは互いに独立なわけではないということです。どちらの特性も持ち、それらがかけ算されて個人の特性が成り立っていることもあり得ます。
このようにギフテッド特性と発達障害特性の両方を持つ人のことを「2E(Twice Exceptional)」と言います。
彼らの特性把握においては、何が特性の起因となっているのか、より慎重に観察/考察を行うことが重要となります。誤った把握をしそれに基づき支援を行ってしまった場合、それは結果として当人の大きなストレスにつながりかねないものとなってしまいます。「周囲にわかってもらえない」という気持ちは、人生において大きな負をもたらします。すぐに決めつけず、丁寧に当人と向き合っていくことが大切です。
ギフテッドと発達障害とを見分けるには?
さて、ここまでギフテッドと発達障害に共通する特徴や行動を挙げてきました。行動など表面的に現われる状況は酷似している一方で、その根底にある発生のきっかけは異なることが多いです。筆者である私も中学生の頃、「自分は発達障害なのかも」と思い専門書を読み漁ったことがありました。確かに、現れる行動や状態は非常に重なっていて、けれどもその前段階にある発生起源/動機には違和感を感じました。【片足つっこんでいるけれど、両足は突っ込んでいない感覚】がそこにはありました。その後、ギフテッドという概念を知り、発生起源/動機も含めて自らの特性について納得感を持つことができたのを強く覚えています。
以下では、特性について見分け、適切に対応していくためのあしがかりをいくつか挙げていきたいと思います。
情報収集をする
まず、一番気軽にとれる方法として情報収集があります。いまや誰でも簡単に情報を得られる時代になりました。疑問を感じたことを簡単に調べることができますよね。一方で、注意しなければならないこともあります。それは情報の信頼性です。その情報は本当に信頼できるものなのか、受け取った情報を鵜呑みにはせずに検討することが重要です。信頼性をある程度担保されている情報を意識的に取り入れてみることも1つの方法かもしれません。書籍や論文は、一定の検討がなされているものが多いです(とはいっても近年は独自で発刊できる形もあるのでそういったものは慎重に扱いましょう)。自分が今必要としている情報、しかも適切なものを得られる形を慎重に検討するようにしましょう。
専門家を頼る
支援センターや医療機関など専門家に相談することを視野にいれることも大切です。専門家に頼ることによって、自分で把握していたころよりもより客観的に物事を判断することが可能になります。
相談のする際には、<困っていること>を明確にしていくことが大切です。困りごとが正しく伝わることによって、より適切な支援が可能となります。たとえば、一番近くでお子さんをみている親御さんの感覚や感じていることはとっても重要なヒントです。
一方で、専門家を頼る場合においても注意すべきことがあります。それは、専門家の判断を「絶対」と思わないことです。先ほども記述をしたように、発達障害やギフテッドは明確に判断できる基準はありません。ゆえに、専門家によって判断にズレが生じることもしばしばです。また、一概に「専門家」といっても色々ですよね。専門的な資格の有無だけで信頼性を判断するのも危険な部分があります。難しいことではありますが、専門家の方と対話をする中で、「自分にとって信頼できるかどうか」も大切な判断基準にしてほしいなと思います。
また、「どのようなタイミングで相談をしたらいいのか」悩んでいる方も少なくないと思います。周囲が「困っている」ときは、本人も「困っている」場合が多いです。困りごとが明確にある場合は、専門家に相談してみるという選択肢を一つ視野にいれることをおススメします。
本人に聞いてみる
筆者が1つ提案したいのは、当人に聞いてみるということです。もちろん、当人が自身のすべてを把握していることはなかなかないですし、自分自身のことについて語ることに後ろ向きな場合もあるでしょう。よって絶対的な方法というわけではないのですが、新たな発見が得られる場合も多くあります。本人がどのように感じているのか、行動の理由はなにか、客観的には気づくことが出来ないこともたくさん隠されているかもしれません。
まとめ
さて今回は、「ギフテッドと発達障害のちがい」について整理をしていきました。しかし一番大切なことは区別すること自体ではなく、「特性を正確に理解し適切に対応すること」です。「ギフテッド」や「発達障害」をはじめとするカテゴリはあくまで参考材料でしかなく、絶対的なものではありません。同じカテゴリに位置づけられる人でも、その特性は少しずつ異なります。全く同じということはなかなかありません。同じ「人間」でも一人一人見た目や性格が違うことと同じです。その前提に立ったうえで、特性をより知る手がかりとしてこれらの「カテゴリ」を活用いただければと思います。
特性に沿った支援:ringOスクール
最後に少し宣伝をさせてください、、、!
本記事で取り上げたように、カテゴリにこだわりすぎずに、特性に沿った対応や支援をしていくことは非常に大切です。オンライン家庭教師ringOスクールでは、ひとりひとりと向き合い、ひとりひとりにあったサポートを追求しています。学習の困りごと以外でも大丈夫。コミュニケーションに難しさがある、多動性とどう向き合いながら学習をすすめればいいのかわからない、など、お子さまの学習にお困りごとがございましたらぜひお気軽にご相談ください。

