【ギフテッドとは? 】特徴・生きづらさ・関わり方を当事者が解説
日本において、少しずつ認知されるようになってきている「ギフテッド」という存在。
- 自分の子どもはギフテッドなのかも?
- 学校現場で、ギフテッドと思われる子どもを担当することになった
- 医療機関にて、ギフテッドかもしれないと言われた
そんな方も多いのではないでしょうか?
ギフテッドという言葉自体は認知が進んできた一方で、ギフテッドの「リアル」について、日本社会の認識がまだまだ追いついていないことも事実です。
そこで、本記事では、ギフテッド特徴・生きづらさ・関わり方について、ギフテッド当事者がわかりやすく解説をしていきます。
「サクッと読めて、理解が深まる」
肩の力を抜いて、ぜひ読んでみてください。
ギフテッドとは
ギフテッド(gifted)とは、特定の分野で優れた能力をもつ人のことを指す言葉です。
知能指数であるIQ130以上を持つ人がギフテッドだとされることが多いですが、知能指数に限らず、芸術/スポーツ/リーダーシップなど様々な分野での優れた才能を持つ人々もギフテッドとよばれる場合があります。
一方で、「ギフテッドとは何か」については世界的にも統一された定義があるわけではありません。そのため、ギフテッドかどうかを線引きすることは簡単ではありません。
だからこそ大切なのは、「ギフテッドかどうか」を判断することではなく、「どのような特徴や困りごとがあるのか」を理解することだと私は考えています。
ギフテッドという概念について知る中で、子どもも大人も、自分自身を理解したり、周囲の人との関わり方を考えたりするヒントを見つけていってほしいと思っています。
本記事が、そのきっかけになれば幸いです。
ギフテッドによく見られる特徴
ギフテッドと呼ばれる人たちには共通して見られる傾向があります。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではありません。
しかし、こうした特徴について知ることは、自分自身や身近な人を理解するヒントになることがあります。
ここでは、ギフテッドによく見られる特徴を、「学習面」「情緒面」「社会面」の3つの視点から紹介していきます。
学習面の特性
ギフテッド特性を持つ人は、学ぶことそのものに強い興味を示したり、自分なりの学び方を持っていたりすることがあります。
例えば、新しいことを理解するスピードが速かったり、興味を持った分野を深く探究したりすることがあります。一方で、興味のないことにはなかなか集中できなかったり、反復練習を苦手としたりすることもあります。
そのため、学校や職場などの画一的な学び方・進め方に違和感を覚える人も少なくありません。
もちろん、すべてのギフテッドに当てはまるわけではありません。しかし、次のような特徴は比較的よく見られます。
興味を持ったことについては、スポンジのようにどんどんと理解していきます。
興味が深いと、それに伴って理解も深いことが多いです。そのため、すでに理解している内容を繰り返し学ぶことには退屈さを感じやすい傾向があります。
このような傾向が見られることがあります
- ものごとの理解が速い
- 単なる反復練習を嫌う
- 興味のある分野に強い集中力を発揮する
「なぜ?」「どうして?」という問いを大切にし、自分で調べたり考えたりすることを好みます。
興味を持ったテーマについては、大人が驚くほどの知識を身につけることもあります。
このような傾向が見られることがあります
- 興味の対象が幅広くなりやすい
- 興味を持ったことに没頭する
- 気になることを徹底的に調べる
- 次々と新しい興味の対象を見つける
好きなことに対して高い集中力を発揮することがあります。
時間を忘れて取り組んだり、周囲が見えなくなるほど夢中になったりすることも珍しくありません。
このような傾向が見られることがあります
- 集中すると何時間も勉強ができる
- 夢中になると他のものに目が行かない
- 集中していたら声をかけても気づかない
既存のやり方や考えにそのまま則るのではなく、自分なりに考え、納得したいという気持ちが強い傾向があります。そのため、独創的なアイデアを生み出したり、周囲とは異なる視点を持ったりすることがあります。
一方で、決められた手順や型にはまった学習方法に窮屈さを感じたり、「普通はこうする」という考え方だけでは決断できず、進路や人生の選択に時間がかかることもあります。
このような傾向が見られることがあります
- 形骸化したルールに疑問を持つ
- 独創的な発想をする
- 「なぜ?」を深く考える
- 自分で納得しないと動けない
当事者のリアル
子どもの頃から、「答え」よりも「なぜそうなるのか」を知りたいタイプでした。
計算方法や公式を覚えることよりも、その背景にある仕組みを理解できたときに大きな面白さを感じていました。
一方で、意味を感じられない反復練習にはなかなか取り組めず、「やればできるのに、なぜやらないの?」と言われることもありました。
情緒面の特徴
ギフテッド特性を持つ人は、物事を深く考えたり、感情や感覚を強く受け取ったりすることがあります。
嬉しいことや楽しいことを人一倍味わえる一方で、悲しみや不安、周囲の雰囲気にも大きく影響を受けることがあります。そのため、「考えすぎ」「気にしすぎ」と言われてしまうことも少なくありません。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではありませんが、次のような特徴は比較的よく見られます。
喜びや感動だけでなく、悲しみや怒りなどの感情も強く感じることがあります。
映画や本に深く感情移入したり、他者のつらさを自分のことのように感じたりすることもあります。
このような傾向が見られることがあります
- かんしゃくを起こしやすい
- 感情のアップダウンが激しい
- ささいなことで深く落ち込む
- 他者の気持ちを気にしすぎる
音や光、におい、肌ざわりなどの感覚に敏感な人もいます。
また、人の表情や声のトーン、場の空気の変化を敏感に感じ取り、疲れやすくなることもあります。
このような傾向が見られることがあります
- 蛍光灯の光がつらい
- 人混みにいくととても疲れる
- 些細な変化にも気づく
- 他者の気持ちを気にしすぎる
一つの出来事について、「なぜそうなったのか」「本当にこれでいいのか」と何度も考え続けることがあります。
物事を多角的に考えられる一方で、答えが出ないまま悩み続けてしまうこともあります。
このような傾向が見られることがあります
- 進路を決められない
- ささいなことで深く落ち込む
- 他者の気持ちを気にしすぎる
「公平でありたい」「筋が通っていることが大切」と考える人も少なくありません。
そのため、理不尽な出来事や矛盾に強いストレスを感じたり、「なぜみんな気にしないのだろう」と疑問を抱いたりすることがあります。
このような傾向が見られることがあります
- 間違っていることは正さずにはいられない
- 理不尽には耐えられない
- 社会問題に敏感
- 公平/平等といったことを強く意識する
当事者のリアル
私は子どもの頃から、「どうしてみんなは気にならないんだろう」と感じることがよくありました。
友達が悲しんでいると自分まで苦しくなったり、理不尽な出来事に強い怒りを感じたり、一つの出来事を何日も考え続けてしまったり…。周りからは「気にしすぎ」「考えすぎ」と言われることも少なくありませんでした。
一方で、その感じやすさのおかげで、人の気持ちに深く共感できたり、本や音楽、自然に心から感動できたりすることもあります。
社会面の特性
ギフテッド特性を持つ人は、人との関わり方にも独自の傾向が見られることがあります。
人が好きな人もいれば、一人で過ごす時間を好む人もいます。また、年齢よりも価値観や興味が合う相手とのつながりを大切にする人も少なくありません。
もちろん、すべての人に当てはまるわけではありませんが、次のような特徴は比較的よく見られます。
同年代よりも、大人や年上の人、あるいは共通の興味を持つ人との方が話が合うと感じることがあります。
年齢ではなく、「何を大切にしているか」「どんなことに興味があるか」を重視して人間関係を築く傾向があります。
一人で考えたり、好きなことに没頭したりする時間を必要とする人もいます。
人付き合いが嫌いというわけではなく、自分らしく過ごすために一人の時間が欠かせない場合があります。
考え方や興味の違いから、「自分だけ浮いている」と感じたり、周囲に理解されないと感じたりすることがあります。
そのため、自分を抑えて周囲に合わせ続け、疲れてしまう人も少なくありません。
「人とつながっていたいのに、孤独」そう感じられている当事者の方はとても多いです。
このような傾向が見られることがあります
- 大きな孤独感にさいなまれている
- 人とのつながりを求めている
- 周囲に過度に合わせてしまう
- 「本当の自分」がわからなくなっていまっている
表面的な会話よりも、お互いの考えや価値観についてじっくり話すことを好む人もいます。
相手をよく理解したい、自分の考えも理解してほしいという思いが強く、信頼関係を大切にする傾向があります。
このような傾向が見られることがあります
- 社会問題について話したい
- 議論が大好き
- 年長者との会話を好む
当事者のリアル
子どもの頃は、「なんとなく話が合わないな」と感じることがよくありました。
みんなが盛り上がっている話題に興味を持てなかったり、自分の好きなことを話すと「難しい」「変わってる」と言われたりして、少しずつ話すことを控えるようになりました。
でも、大人になって同じ価値観や興味を持つ人たちと出会うと、「こんなに自然に話せる人がいるんだ」と驚きました。
人付き合いが苦手だったのではなく、自分に合う環境や相手が少なかっただけなのかもしれない、と今では感じています。
ギフテッドの生きづらさ
特性が周囲に理解されなかったり、自分に合わない環境で過ごしたりすることで、生きづらさを感じることがあります。
ここでは、多くの当事者や保護者から寄せられる代表的な悩みをご紹介します。
ギフテッドの子どもは、大人びた考え方をする一方で、年齢相応の幼さを見せることがあります。また、興味のあることには驚くほど集中する反面、興味のないことには全く取り組めないこともあります。
こうしたアンバランスさから、「わがまま」「気にしすぎ」「考えすぎ」と誤解されてしまうことも少なくありません。
理解されない経験が積み重なることで、「どうせ話してもわかってもらえない」と感じ、自分の気持ちを表現しなくなる人もいます。
学校では、一人ひとりに合わせた学び方が難しい場面もあります。
授業の進度が合わず退屈に感じたり、逆に興味のあることを十分に探究できなかったりすることで、学ぶ意欲を失ってしまうことがあります。
また、集団行動や一律のルールに違和感を覚え、学校そのものがストレスになるケースもあります。
同年代の友達と興味や考え方が合わず、「自分だけ違う」と感じることがあります。
周囲に合わせようと無理を続けたり、自分らしさを隠したりすることで、孤独感や疲れを抱えてしまう人も少なくありません
理想が高く、自分にも厳しい人は少なくありません。
「100点でなければ意味がない」「失敗するくらいなら挑戦しない方がいい」と考えてしまい、行動できなくなったり、自分を責めたりすることがあります。
高い能力があるからこそ、できない自分を受け入れられず、自己肯定感が低くなってしまうこともあります。
二次的な困りごとにつながることもある
生きづらさが長く続くと、不登校や強い不安、抑うつなどの心身の不調につながることがあります。このように、もともとの特性ではなく、その特性と環境とのミスマッチが続くことで新たな困りごとが生じる状態を「二次障害」と呼びます。
大切なのは、これらは「ギフテッドだから起こる」のではないということです。特性が理解されないまま無理を重ねたり、自分に合わない環境で過ごし続けたりすることで、二次障害は起こります。
もし、不登校が続いている、気分の落ち込みが強い、不安が強く日常生活に支障が出ているなどの様子がみられる場合は、一人で抱え込まず、医療機関や専門機関へ相談することをおすすめします。必要に応じて適切な治療や支援を受けることで、回復につながるケースも少なくありません。
また、二次障害につながるリスクが心配される場合は、症状が深刻になる前から相談できる「かかりつけ医」や信頼できる専門家を見つけておくことも大切です。困ったときにすぐ相談できる場所があることは、本人だけでなく家族にとっても大きな安心につながります。
大切なのは「特性」ではなく「環境」
大切なのは、その人の特性を理解し、安心して過ごせる環境や、自分らしく学び、生活できる場所と出会うことです。
周囲の理解や適切な支援があれば、生きづらさは和らぎ、その人らしい力を発揮できるようになるケースも少なくありません。
また、一度にすべてを変えようとする必要はありません。学校や家庭だけでなく、習い事や地域の活動、オンラインコミュニティなど、その人が「ありのままの自分でいられる」と感じられる環境や居場所を、一つずつ増やしていくことが大切です。
安心して過ごせる場所が少しずつ増えていくことで、心に余裕が生まれ、「自分らしく生きてもいいんだ」と感じられるようになります。そうした積み重ねが、生きづらさを和らげ、毎日を少しずつ「呼吸しやすく」してくれるでしょう。
ギフテッドの人とどう関わるか
ギフテッドを取り巻く保護者、教員、そして当事者自身も、「どう関わればいいのだろう」と悩む場面は少なくありません。
- 「どんな声かけをすればいいの?」
- 「才能は伸ばした方がいい?」
- 「苦手なことは克服させるべき?」
- 「学校を変えるべき?」
さまざまな情報を調べるほど、「何が正解なのかわからない」と感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、ギフテッドの人への関わり方に「これが正解」という方法はありません。
一人ひとり特性や個性、育ってきた環境、大切にしている価値観は異なります。そのため、「ギフテッドだからこう関わる」というよりも、「その人にとって何が心地よいのか」「どんな環境なら力を発揮しやすいのか」を、一緒に考えていくことが大切です。
ここでは、多くの当事者や保護者と関わる中で、私が特に大切だと感じているポイントをご紹介します。
ギフテッドの人は、得意なことが目立つ一方で、苦手なこともあります。
「これだけできるのだから、これもできるはず」と考えるのではなく、得意と苦手の凸凹があることを前提に関わることが大切です。
困った行動の背景には、本人なりの理由が隠れていることがあります。
叱る前に、「何に困っているのだろう」「どんな環境なら力を発揮できるだろう」という視点で考えることで、見えてくるものが変わります。
好きなことに夢中になれる時間は、自己肯定感や学ぶ意欲につながります。
「役に立つかどうか」だけで判断せず、本人の知的好奇心を尊重することも大切です。
家庭でも学校でも、ありのままの自分を受け入れてもらえると感じられる場所は、大きな支えになります。
すべての場所で無理に適応する必要はありません。一つでも安心して過ごせる居場所があることが、挑戦する力にもつながります。
一部で抱え込まない
保護者や学校だけで解決しようとすると、負担が大きくなってしまうことがあります。
必要に応じて、医療機関や心理士、学校、民間の支援機関などと連携しながら、支援を考えていくことも大切です。
多角的な視点が入ることで、見え方や対応策も多様になっていきます。
大切なのは、「その人らしさ」を守ること
大人子どもに関わらず、
何より大切なのは、「その人らしさ」を認め、その人が安心して過ごせる環境を整えていくことです。
周囲が少し視点を変えるだけで、生きづらさが和らぎ、その人らしい力を発揮できる場面は少なくありません。
「普通」に合わせることを目標にするのではなく、その人らしく成長できることを目指して、一歩ずつ歩んでいけるとよいでしょう。
当事者として伝えたいこと
さて、この記事では「ギフテッド」によく見られる特徴や生きづらさ、関わり方についてまとめていきました。
ここまで読んで「結局うちの子はギフテッドに当てはまらないのでは?」「私はギフテッドではないのでは?」などわからなくなった人もいるかもしれません。
最初にも述べた通り、結局ギフテッドといっても多様で、一人一人違います。
当てはまる部分もあれば当てはまらない部分もあるでしょう。
ギフテッドの概念やそこで挙げられる特徴は、ギフテッドかどうかを判断する材料としてではなく、支援や見方の参考にしていっていただければと思います。
「こういった特性の人もいる」と、ギフテッドという概念を通して知見を広げることは、ギフテッドの可否に関わらず、様々な人への見方が変わるきっかけになると思います。そうやって、みんながひとりひとりと向き合える、そんな社会になることを願っています。
さて、この記事ではなるべく専門用語を使わずにギフテッドの特徴について取り上げていきました。
「ギフテッドについてもっと知りたい!」という方はぜひ別記事を読んでみてくださいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました!


